給与計算を間違えた場合の影響
給与計算を間違えた場合は、従業員にとって手取の受取額が変わるだけでなく、将来の年金受取額にも影響があります。
また、従業員の受取給料や年金受取額だけではありません。
給与額の計算が間違っている場合、給料の控除項目である源泉所得税も間違っていることとなるため、税金計算にも影響します。
給料の計算ミスがあった場合、会社に大きな影響を与える可能性があるのね。。。
うーん、でもね、給与計算ソフトを入れてるからダイジョブだよ。
ソフトウエアへの入力が手作業なら、給与計算ソフトを入れていても間違える可能性があるよ!
給与計算を間違えやすいポイントを解説
給与計算では間違いやすいポイントがだいたい決まっています。
間違いやすいポイントを意識することで正確な計算をすることができます。
ミスがあった時にミスがないようにすることももちろん大事ですが、ミスをする前にミスを学ぶことはもっと大事です。
給与計算は間違った場合、会社や従業員に与える影響が大きいため、5つのポイントを解説します。
共通するのは「変化」が起きた時
ではどういう時に計算間違いが起きるのでしょうか?
そのパターンを解説していきます。
共通するのは「変化」が起きた時です。
新入社員が入社したとか、残業が増えたとか、役職が変わった、子供が生まれた等の変化があった時に、給与計算に反映できななかった場合にミスが起こりやすいです。
5つのポイントを個別にみていきましょう。
ポイント1.入社・退職
入社の場合
新入社員が入ってきた時に高卒や大卒・スキル・経験等のテーブルをもとに基本給を決定しますが、その際に基本給のテーブル選択を誤る可能性があります。
退職の場合
退職の場合は、社会保険料を誤りやすいです。
社会保険料は1ヶ月単位で計算されますので、日割り計算はありません。また、月の途中で退職者が発生した場合、その退職者の退職した月は社会保険料はかかりません。
そのため、もし給与から控除した場合は誤りとなってしまいます。
ポイント2.役職変更・昇給
役職変更や昇給があった場合にも単純な例が多いですが、ミスが発生しやすくなります。
例えば、昇給対象者に漏れが発生していて給与に反映されない、従業員から取締役(従業員兼務なし)就任となったことにより役員報酬に切り替わったにもかかわらず給与を支給していた等があります。
ポイント3.時間外手当の集計(残業代の計算)
単価の間違い
残業手当の単価(割増賃金)を計算する際に「基本給」のみをベースとして時間当たりの賃金を計算するのは誤りです。
割増賃金の計算においては手当分も含みます。ただし、すべての手当を含むわけではありません。
以下のような手当については割増賃金の計算から除外することが可能です。
・個人の事情に基づく手当(家族手当、住宅手当、通勤手当など)
・臨時の手当(結婚手当、出産手当など)
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与)
・深夜手当(所定労働時間が深夜帯にかかることに対する手当)
残業時間の間違い
残業時間を手入力する際にミスをしてしまいやすいのが端数時間の入力です。
給与計算ソフトは10進数か60進数かにより、取り扱いが異なります。
時間 | 10進数 | 60進数 |
---|---|---|
15分 | 0.25 | 0.15 |
30分 | 0.5 | 0.30 |
45 | 0.75 | 0.45 |
つまり45分の残業があった場合に、給与計算ソフトの仕様が10進数の場合、「0.45」ではなく「0.75」と入力するのが正しいです。
通常のルーティーンではミスは起こりずらいのですが、月次が締まった後に修正する等の場合に起こりやすいため注意が必要です。
ポイント4.社会保険料率の改定
社会保険料はほぼ毎年改定され、改定された場合は料率が変動します。古い料率を用いたまま計算する、あるいは、改定の変更月を誤ることがあります。
新しい料率を用いるのは当たり前ではないかと思うお気持ちはごもっともなのですが、古い料率のまま計算されていてとしても意外とダブルチェック等でミスが発見されない場合が多いです。
ポイント5.扶養人数の変更
例えば結婚して妻が扶養に入った、子供が生まれて扶養人数が増えた等により、家族手当が支給されるかもしれません。
また、扶養家族の増減により源泉所得税の計算にも影響します。
人事システムと給与計算システムが自動連係していればミスは起こりにくいですが、手入力で行われている場合は注意が必要です。
いろいろと計算要素が多いから、給与計算は不安だぁ。
「変化」があったときに給与に反映さえすれば大丈夫だよ!
それがミスなくできれば苦労がないんだけどね。。