1「決算日時点」と2「分配日時点」の2つの時点で算定する。
配当可能額ってどうやって算定するのかイマイチわからないなぁ。。
計算誤りが起こりやすいとよく聞くね。。
一見難しくみえるけど大体の場合、計算自体はシンプルだよ!
いつの時点の計算なのか意識してね!
1「決算日時点」の算定方法
1「決算日時点」における剰余金を算定します。
資産の額 + 自己株式の帳簿価額の合計額 - 負債の額 - 資本金・準備金 - 法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
確かに計算式はこの通りなのですが、つまるところ以下です。
(決算日時点の)その他資本剰余金の額 + (決算日時点の)その他利益剰余金の額
資本準備金や利益準備金は含まれないので注意してね!
2「分配日時点」の算定方法
2「分配日時点」の剰余金を算定するため、①「決算日時点」の剰余金を調整します。
「決算日」後の以下項目について、調整します。
①最終事業年度末日後の自己株式処分損益
②最終事業年度末日後の減資差益
③最終事業年度末日後の準備金減少差益
④最終事業年度末日後の自己株式消却額
⑤最終事業年度末日後の剰余金の配当額
⑥法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
このうち、「⑥法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額の内容」は以下となります。
- 最終事業年度末日後の剰余金から資本金の額又は準備金への振替額
- 最終事業年度末日後に剰余金の配当を実施した場合の準備金積立額
- 最終事業年度末日後に吸収型再編行為を実施した場合に処分する自己株式の処分差額
- 最終事業年度末日後に吸収分割又は新設分割を実施し剰余金の額を減少した場合の当該剰余金減少額
- 最終事業年度末日後に吸収型再編受入行為を実施した場合のその他資本剰余金及びその他利益剰余金の増減額
これで、 「分配日時点」の剰余金を算定できました。
ここに書かれている状況に該当しなければ、「決算日時点」と「分配日時点」の剰余金は同じ金額になるよ!
最後に、「分配日時点」の分配(配当)可能額を算定します。
①分配日時点における剰余金の額 ※先ほどの計算結果を用います。
- ②分配日時点の自己株式の帳簿価額
- ③事業年度末日後に自己株式を処分した場合の処分対価
- ④その他法務省令で定める額
「決算日後」に自己株式の取得や処分をしている場合は、②と③に該当するから特に注意してね!
④その他法務省令で定める額 については以下です。
- 最終事業年度の末日におけるのれん等調整額
- 最終事業年度の末日における貸借対照表のその他有価証券評価差損
- 最終事業年度の末日における貸借対照表の土地再評価差損
- 株式会社が連結配当規制適用会社であるときの連結配当規制控除額
- 2回以上臨時計算書類(株主総会承認済)を作成した場合の直前臨時決算年度以外の臨時損益計算書の損益計算書に計上された純利益等
- 剰余金の配当後に純資産が3百万円を下回る場合の資本金及び準備金等の調整額
- 臨時決算期間中の吸収型再編受入行為又は特定募集に際して処分する自己株式の対価の額
- 最終事業年度の末日後に不公正発行に伴う支払義務の履行により増加したその他資本剰余金の額及び最終事業年度がない株式会社が成立の日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
- 最終事業年度末日後に株式会社が自己株式を取得対価として当該株式会社の株式を取得した場合における、当該取得した株式の帳簿価額から当該取得した株式の株主に交付する自己株式以外の財産の帳簿価額を減じた額
- 最終事業年度の末日後の吸収型再編受入行為又は特定募集に際して処分する自己株式の処分対価の額
違法配当とならないように気をつけましょう
分配可能額の算定は基本的にシンプルです。
1「決算日時点」2「分配時点」の2つの時点を明確に分けて考えることがコツです。
どの時点の話なのかを意識して、違法配当とならないように気を付けましょう!
計算の落とし穴やうっかりミスについては重点的にこのページ↓で解説しているよ!