将来キャッシュ・フローっていう言葉が何のことを言っているのかわからないよ。
「将来」も「キャッシュ・フロー」も両方聞いたことはあるけど、組み合わせるとピンとこないわね。
将来キャッシュ・フローは減損会計で最も重要な要素といっても過言ではないので、ポイントを絞って説明するね!
将来キャッシュ・フローとは
将来キャッシュ・フローとは、以下2つの総額(①+②)で計算します。
①当該固定資産を将来にわたり使用することにより事業において使用することで回収できるキャッシュ
②当該固定資産の使用見込み期間の経過後に資産を処分したときに得られるキャッシュ
将来キャシュ・フローの見積りを行うステップはいつ?
将来キャッシュ・フローの見積りは合理的な根拠を持って計算する必要があるため実務上の負担があります。
そのため、まずは減損会計ではどのステップで将来キャッシュ・フローの見積りが必要なのか再確認しましょう。
1.減損の兆候の判定 : ×(必要なし)
2.減損の認識の判定 : 〇
3.減損の測定 : 〇
これは、実務上の負担を考慮し、兆候なしの場合は将来キャッシュ・フローの見積りに関する作業を免除しているとも捉えることができます。
測定のステップでは認識のステップと異なり、将来キャッシュ・フローの割引計算が必要となってきます。
割引計算の解説はこちら↓
実務で悩ましいポイント2つ
1.何の情報に基づいて見積るか(方法)
減損損失の認識に用いられる将来キャッシュ・フローは、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づき見積られることが必要とされています。
その際の留意点は以下です。
①経営環境などの外部要因や、売上見込み、予算などの内部の情報と整合した数値を前提として作成された中長期計画に基づいて見積りを行う。
②会社に中長期計画が存在しない場合も、経営環境などの外部要因や、売上見込み、予算などの内部の情報に基づいて見積りを行う。
③中長期計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローを算定する場合、計画に基づいた一定の成長率の仮定を行って見積もりを行う。
④将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、現金基準の他、発生基準に基づいて見積った金額に減価償却費などの重要な非資金損益項目を加減した金額を使用することができる。
2.何年間見積るか(期間)
将来キャッシュ・フローは何年間分を見積もれるかによって、その金額は変動します。
ケースによっては、減損損失がそもそも発生するかどうかについて左右するほどの重要な要素です。
会計基準の基本的な考え方は、主要な資産の経済的残存耐用年数まで見積もることができます。
つまり、減損会計は固定資産の収益性や資産価値を判定するものであるため、見積り期間についても主要となる固定資産が残りあと何年使えるかによって変わってくるものです。
※20年を超える場合はまた別の見積り方法となるよ!
何年間分を最大限見積れるかという話ではありますが、実務上で忘れてはいけないポイントとして、繰り返しになりますが1.のように企業固有の状況を反映した合理的な数値が前提となります。
そのため、例えば経済的残存耐用年数を10年見積もることができるといった場合であっても、説明困難な数字を無理くり作っているようなケースは結局のところ10年分の将来キャッシュ・フローを見込むことはできないことに留意です。
まとめ
減損会計における将来キャッシュ・フローは以下の場面で使用する重要な要素です。
減損損失をそもそも認識するのか
認識する場合で減損損失の金額はいくらなのか
ポイントをおさらいして、数値として説明できるようになることが重要です。
減損会計が見積項目であると言われる理由は、将来キャッシュ・フローの見積り計算にあるよ!