「割引計算」ってちょくちょく出てくるけど一体なんなのかしら?
ん?スーパーの半額割引シールのことかな??
世間で言われている「割引」とは違った考えだから説明するね!
割引計算の前提となる考え方
現在もらえる100円と将来もらえる100円とでは、金額が一緒であっても資産価値はイコールではないとの考え方を前提としています。
一般的には現在もらえる100円の方が資産価値が高くなります。それはどうしてでしょうか?
企業は事業活動を行うことによって、現在の100円を1年後には105円にも110円にも増やすことができます。
割引計算は、将来の105円ないし110円を現時点の資産価値に置き換えることを意味しています。
将来キャッシュ・フローの割引計算が必要なステップ
減損損失の測定において、将来キャッシュ・フローの割引計算が必要です。
別の言い方をすると、減損損失を計算するにあたり、期末日時点の価値を算出する必要があるのは測定のステップのみです。
一方で、減損の認識においては、上記の割引計算は必要ではありません。
これは割引計算前の将来キャッシュ・フローで判定を行うことで、減損の事実がより確実であることを裏付けるものとなります。
割引率の求め方
では、割引率はどのようにして計算するのでしょうか。
次のもの、もしくは、次のものを総合的に勘案したものとされています。
(1) 当該企業における当該資産又は資産グループに固有のリスクを反映した収益率。企業は、内部管理目的の経営資料や使用計画等、企業が用いている内部の情報に基づき、当該資産又は資産グループに係る収益率を算定する。
(2) 当該企業に要求される資本コスト。資本コストは、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストを用いることが適当である。
(3) 当該資産又は資産グループに類似した資産又は資産グループに固有のリスクを反映した市場平均と考えられる合理的な収益率。
(4) 当該資産又は資産グループのみを裏付け(いわゆるノンリコース)として大部分の資金調達を行ったときに適用されると合理的に見積られる利率。
割引計算は減損会計以外にも登場してくる
割引計算は減損会計だけに関係する話ではありません。
以下のシーンでも用いられます。
会計基準 | 使われるシーン |
---|---|
減損会計 | 減損の測定における将来キャッシュ・フローを求める |
退職給付会計 | 決算日現在の退職給付債務を求める |
資産除去債務会計 | 有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを求める。 |
使用する割引率は会計基準で異なるけど、割引率の考え方は基本的に同じだよ!