今日は変動対価について詳しく説明するよ!
変動対価ってなにかを直訳したかのような単語だわね。
それってつまりは値引きのことなのかな?
(簡単におさらい)STEP3 取引価格の算定について
取引価格を算定するにあたっては、次の4つの考慮事項を考慮することなります。
① 変動対価 ← 今回はココを説明!
② 契約における重要な金融要素
③ 現金以外の対価
④ 顧客に支払われる対価
変動対価とはなにか?
変動対価とは、一体なんでしょうか?
収益認識会計基準第50項では以下のようにシンプルに定められています。
顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分
内容は言葉のまんまで想像するイメージとそれほど大差ないかもしれません。
また、変動対価の具体例については以下の通りです。
「値引き」や「インセンティブ」等の聞きなじみのある言葉が並んでおり、イメージしやすくこちらで覚えるほうがわかりやすいでしょう。
・値引き
・リベート
・返金
・インセンティブ(〇円以上を売上があった場合は、インセンティブとして追加で報酬がもらえる)
・ペナルティ(〇円以上の売上がないと、罰金的な意味合いで徴収される)
変動対価に該当する場合の仕訳は?
収益認識会計基準では、変動対価がある場合には見積もったうえで引当金ではなく「返金負債」を計上することとなります。
例えば、売上100に対して返品10が見込まれる場合 は以下の仕訳となります。
売掛金 100 / 売上 90
返金負債 10
このように、収益認識会計基準においては変動対価について、計上時において売上金額の調整を行います。
変動対価はどうやって見積るの?
変動対価はあくまで価格が変動する可能性の話であり変動が事前に確定している話ではないため、会計上では見積りの概念となってきます。
つまり、入金時点ではなく販売時点で見積もることとなります。
そして、収益認識会計基準においては、企業が権利を得ることとなる対価の額をより適切に予測できる方法を用いて見積ることとなります。
変動対価を見積るにあたっては、以下2つのいずれかを適用しなければなりません。
また、①最頻値法②期待値法のいずれかは企業が任意で選択できるものではなく、企業が権利を得ることとなる金額をより適切に見積ることができる方法を選択しなければならないことに留意が必要です。
なお、変動対価の見積りについては、決算時に見直すことが必要となります。
①最頻値法
②期待値法
①最頻値法
最頻値法は発生し得ると考えられる対価の額における最も可能性の高い単一の金額を意味します。
言い換えると、複数の計算結果がある場合であっても、一つの計算結果(最も可能性が高い計算結果)のみを用います。
②期待値法
期待値法は発生し得る対価の額を発生確率により「加重平均」した金額の合計額を意味します。
言い換えると、複数の計算結果がある場合において、その発生確率に応じた金額を計算結果に反映していきます。
注意点:取引価格に含める変動対価には制限がある
注意点として、収益の過大計上を防ぐ観点から、変動対価の全額が常に取引価格に含められるわけではありません。
変動対価に関する不確実性が解消される時点で、収益認識累計額に大幅な減額が生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、変動対価を取引価格に含めることができます。
収益が減額される確率又は減額の程度を増出させる可能性のある要因の例示として以下があります。
(変動対価の見積りが制限されるケースの判断については事業を取り巻く経済環境や、財又はサービスに関する個別の性質、その他契約条件等を含めて総合的な判断が必要となります。)
① | 市場の変動性又は第三者の判断若しくは行動等、対価の額が企業の影響力の及ばない要因の影響を非常に受けやすいこと |
② | 対価の額に関する不確実性が長期間にわたり解消しないと見込まれること |
③ | 類似した種類の契約についての企業の経験が限定的であるか、又は当該経験から予測することが困難であること |
④ | 類似の状況における同様の契約において、幅広く価格を引き下げる慣行又は支払条件を変更する慣行があること |
⑤ | 発生し得ると考えられる対価の額が多く存在し、かつ、その考えられる金額の幅が広いこと |
値引き等が予想される場合は「変動対価」を見積もろう
以上のように変動対価では2つのフェーズがあります。
1つ目は変動対価に該当するかどうか
2つ目は変動対価を取引価格に含めるかどうか
変動対価に該当し、かつ、取引価格に含める となった場合に仕訳において反映されることとなります。
どちらの論点なのかを意識してみましょう。
売買契約書に書かれていなくても、取引先との間で期待や意図があれば変動対価となるのが驚きだわ。
収益認識会計基準になってから、考える要素が増えているから気を付けないとだなぁ。
変動対価に該当しても、企業の経験値からして予測が困難とかに該当する場合は、取引価格に含めなくてもいいから留意してね!