これから法人を立ち上げて何かショップでも始めようかと思っているの。
最初は何かとお金がかかりそうだなぁ。
会計には「創立費」と「開業費」という科目が用意されているよ!
繰延資産で処理できるので、詳細に解説するね!
創立費と開業費の違い
会社を設立する際に発生する費用は、経費として会計処理することができます。
科目としては、「創立費」と「開業費」の2つがあり、会社設立の「前」か「後」かによって以下の違いがあります。
創立費:設立準備の開始から会社設立までの期間の費用 ⇒ 会社設立「前」の費用
開業費:会社を設立してから事業を開始させるまでの期間の費用 ⇒ 会社設立「後」の費用
創立費の具体例と会計上の処理
創立費は会社設立までの費用です。
ここでは、創立費の具体例について紹介します。
創立費の具体例
創立費の範囲は税法において明確に定められているわけではありません。
会社設立に必要なものであれば創立費としての処理が認められます。
創立費の具体例としては以下が挙げられます。
- 定款の作成のための代行手数料
- 会社設立時の発起人に支払う報酬
- 定款の認証手数料
- 印鑑証明書の発行手数料
- 会社の設立登記に必要な司法書士や行政書士への報酬
- 設立登記時の印紙代
- 事務所の賃借料(会社設立「前」までの期間)
- 従業員の給料(会社設立「前」までの期間)
- 口座開設等で発生する金融機関への手数料
- 株主の新規募集のための広告料
- 創立総会の費用
創立費の会計処理
実際に会計処理するにあたっては、「繰延資産」として扱います。
繰延資産とは?
費用として会計処理した項目のうち、「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」となります。
繰延資産には、費用でありながらも効果が複数年に及ぶものであることから資産として扱うという性質があります。
つまり、費用が発生した会計年度だけでなく、複数年度に渡って費用を償却できるものが繰延資産に該当します。
創立費や開業費の他に『株式交付費』や『社債発行費』『開発費』なども含まれます。
創立費(繰延資産)の償却年数は?
繰延資産を何年で償却するのかは、会計上と税法上で処理が異なります。
会計上:5年以内に均等償却
税法上:償却期間内であれば経営者の任意の年度に償却(任意償却)
開業費の具体例と取り扱い
開業費は会社の設立「後」から会社の事業開始までに発生した費用です。
ここでは開業費の具体例について紹介します。
開業費の具体例
- 開業のためのセミナーへの参加費用
- 開業にあたり取引先等への接待交際費
- 市場調査のための旅費、ガソリン代
- 会社情報を載せたパンフレットや会社ホームページの作成費用
- 会社の名刺代
- 事務所の机やパソコン、エアコンなどの備品代(10万円以上のもの除く)
【開業費として認められないもの】
事務所の家賃や電気ガス水道等の光熱費、通信費や従業員の給与など:
開業のためというよりは毎月発生する固定費という性質があるためです。
1単位あたり10万円以上する備品等の購入:
固定資産としての処理となるためです。
開業費の会計処理
開業費の処理については、創立費と同じとなるため「創立費の会計処理」を参照ください。
創立費及び開業費を繰延資産で処理することのメリット
創立費及び開業費を繰延資産で計上し、複数年にわたり費用処理できるメリットは税金の節約です。
会計上において費用処理した創立費や開業費は、法人税の計算上においても損金算入が認められています。
開業までの間は売上も発生しないため、課税所得が発生しないことが一般的です。
そのため、創立費や開業費を発生した期に一括費用処理したとしても、税金が発生しないことに変わりはありません。(所得に関わらず、定額で発生する税金は除く)
ですが、繰延資産の創立費や開業費は、開業後に発生した課税所得と対応させ費用化することで、課税所得の圧縮となります。
繰延資産という経理方法があったなんて知らなかったなぁ。
創立費や開業費の繰延資産は任意償却だから、税務面でも優しいのね。
開業前の費用であっても、会社設立の前後に分けて、繰延資産で計上しよう!