株式上場するのってなんだか難しそうだなぁ。
そうね、上場のためには審査が必要みたいだし、漠然と頑張っても意味ないよね。。
東京証券取引所では上場基準が公表されているから、解説するね!
上場承認で満たす必要がある基準=上場基準には2種類ある
上場にあたり取引所に承認されることが必要となります。
そのための基準としては2つの種類があります。
それは、形式基準と実質基準です。
形式基準・実質基準どちらも、各証券取引所(東京証券取引所・名古屋証券取引所等)がHP等で公開しているため、上場を目指す企業はこれらの内容を事前に知ることができます。
形式基準では、上場にあたってクリアしなければならない指標があり、例えば「流通株式数」や「利益水準」のような数値関連の基準が定められています。
東京証券取引所を例にとると、市場が以下3種類に分かれており、それぞれ形式基準が異なります。
プライム スタンダード グロース
一方、実質基準とは、上場を認めるかどうかを判断する基準となる、具体的な項目を指します。
例えば、東京証券取引所においては、実質基準に関する5つの項目が定められています。
詳細は実質基準の解説をご覧ください。
上場承認されるための形式基準
形式基準は上場する3つの市場、つまりプライム・スタンダード・グロースによって異なります。
簡単にまとめたのが以下の表です。
形式要件(項目) | プライム | スタンダード | グロース | |
---|---|---|---|---|
株主数 | 株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
時価総額 | 時価総額 | 250億円以上 | − | − |
流通株式 | 流通株式数 | 20,000単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 | |
流通株式比率 | 35%以上 | 25%以上 | 25%以上 | |
経営成績 財政状態 | 利益の額 または売上高 | 「最近2年間の経常利益の総額25億円以上」 または 「最近1年間の売上高 100億円以上かつ、時価総額1,000億円以上」 | 最近1年間の 経常利益 1億円以上 | − |
純資産の額 | 50億円以上 | 正であること | − | |
事業継続年数 | 事業継続年数 | 3年以上 (+継続的な事業活動) | 3年以上 (+継続的な事業活動) | 1年以上 (+継続的な事業活動) |
その他 | 公募の実施 | − | − | 500単位以上 |
上場承認されるための実質基準
上場が承認されるためには、形式基準だけでなく、実質基準も満たす必要があります。
実質基準は5つの項目に分かれています。
1.企業の継続性および収益性(プライム・スタンダード)
1.事業計画の合理性(グロース)
2.企業経営の健全性
3.企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
4.企業内容などの開示の適正性(プライム・スタンダード)
4.企業内容、リスク情報などの開示の適切性(グロース)
5.その他公益または投資者保護の観点から東証が必要と認める事項
1.企業の継続性および収益性(プライム・スタンダード)
継続性とは、会社が経営する事業が一時的ではなく継続的に行えることかどうかを指しています。
企業の財務諸表は企業が継続することを前提に作成されています。継続企業の前提=GCというものですね。
また、収益性とは、外部から獲得した売上高から各種費用(原価や税金含む)を差し引いた金額=つまり利益を安定的に獲得しているかどうかを意味しています。
1.事業計画の合理性(グロース)
相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みがあるかどうかが審査されます。
以下がポイントとなります。
事業計画が、そのビジネスモデル・事業環境・リスク要因等を踏まえて、適切に策定されているかどうか。
事業計画を遂行するために必要な事業基盤が整備されていると認められること又は整備される合理的な見込みがあるかどうか。
2.企業経営の健全性
法律を遵守して事業活動が行われているか、あるいは申請会社が子会社の場合は親会社との独立性をもって事業を営んでいるか、などが審査されます。
また、会社の役員が親族のみで構成されていないか(いわゆる同族会社)、あるいは他社の役員を兼業している場合は当該役員兼業にあたり申請会社の業務に支障がないか、なども審査の対象です。
3.企業のコーポレートガバナンスおよび内部管理体制の有効性
コーポレートガバナンスとは、企業統治と訳されます。
会社の所有者は経営者ではなく株主のものであるという考えに基づいており、経営を監視する仕組みが構築されているかがポイントです。具体的には役員の職務執行に対する監視のみならず内部管理体制の有効性・内部管理体制維持のための人員・実態に即した会計組織が求められます。
内部管理体制は内部統制とも呼ばれており、企業の不祥事を防ぎ、業務が適切に行われるための仕組みです。
4.企業内容等の開示の適正性(プライム・スタンダード)
投資家が正しい判断をするために必要な情報を、期日に遅れることなくに不足なく正確に開示できる体制が会社に整備されているかが審査されます。
また自己の利益のために、公表する前の自社情報を使った取引(インサイダー取引)を未然に防ぐ仕組みが整備されているかもポイントです。
4.企業内容、リスク情報などの開示の適切性(グロース)
企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあるか審査されます。
主要なポイントとしては以下となります。
経営に重大な影響を与える事実等の会社情報を管理し、当該会社情報を適時、適切に開示することができる状況にあ
るか。また、内部者取引等の未然防止に向けた体制が適切に整備、運用されているか。
特に投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項・リスク要因として考慮されるべき事項・事業計画及び成長可能性に関する事項について、投資者の投資判断において有用な事項について分かりやすく記載されているか。
関連当事者その他の特定の者との間の取引行為又は株式の所有割合の調整等により、企業グループにおける実態の開示を歪めていないか。
親会社等がある場合、申請する会社の経営に重要な影響を与える親会社等に関する事実等の会社情報を申請会社が適切に把握することができ、かつ、投資者に対して適時・適切に開示できる状況にあるか。
5.その他公益または投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項
投資家を保護するために必要な項目が審査されます。
具体的な項目としては、株主の権利等が適当か、反社会勢力との接点がないかどうか、経営に影響するような係争や紛争を潜在的に抱えていないかどうか、許認可が必要な事業の場合に許認可を更新できる状況かどうかなどがあります。
形式基準・実質基準どちらも知ったうえで上場準備に挑もう
形式基準については、数値で表されるものであり、どこまで達成すればいいのかが明確です。
一方で実質基準については、形式基準のように数値で表されていないため、目指す方向性やレベル感についてしっかりと理解しておくことが大事です。
なるほど、審査項目が多いから一つ一つ満たせるかどうかなかなか大変そうね。
一から始めようとするとパンクしそう。。。
一度に全部をクリアするのが難しいから、今の会社に何が足りていないのかを明確にしていくのが大事になってくるよ!