
社外役員とか独立役員とかの単語をたまに耳にするけど何を意味しているのかな。



社外役員も独立役員も両方とも同じような意味のようだから、混同してしまいそう。。



どちらも企業の意思決定に客観的な視点を加え、株主やステークホルダーの利益を守るためのもので、企業ガバナンスで重要な役割なので解説するね!
社外取締役・社外監査役の要件とは
社外役員は社外取締役と社外監査役のことを指します。
社外役員に関する要件は会社法において定められています。
では、それぞれどのような要件を満たす必要あるのでしょうか。
社外取締役の要件
社外取締役に関する事項は会社法第2条第15号において定められており、株式会社の取締役であって、かつ、以下すべての条件を満たすことが求められています。
- 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
- 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
- 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
社外監査役の要件
社外監査役に関する事項は会社法第2条第16号において定められており、株式会社の監査役かつ、以下すべての条件を満たすことが求められています。
- その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。2において同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
- その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
- 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
- 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
- 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
独立役員とは何か
社外役員(社外取締役・社外監査役)とは別に、独立役員という概念が存在します。
独立役員は社外役員のうち、一般株主と利益相反が生じるおそれのない取締役及び監査役となります。
独立役員は会社法ではなく、東京証券取引所の有価証券上場規程で規定(以下「上場規程」)されており、独立役員は社外役員よりも狭い概念です。
具体的な要件は以下のとおりで、いずれかに該当すると独立役員の要件を満たさず、独立役員にはなれません。
A 当社を主要な取引先とする者又はその業務執行者
B 当社の主要な取引先又はその業務執行者
C 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。)
D 最近においてA、B又はCに掲げる者に該当していた者
E 就任の前10年以内のいずれかの時において次の(A)から(C)までのいずれかに該当していた者
(A)当社の親会社の業務執行者又は業務執行者でない取締役
(B)当社の親会社の監査役(監査等委員である社外取締役を独立役員として指定する場合に限る。)
(C)当社の兄弟会社の業務執行者
F 次の(A)から(H)までのいずれかに掲げる者(重要でない者を除く。)の近親者
(A)Aから前Eまでに掲げる者
(B)当社の会計参与(当該会計参与が法人である場合は、その職務を行うべき社員を含む。以下同じ。)(社外監査役を独立役員として指定する場合に限る。)
(C)当社の子会社の業務執行者
(D)当社の子会社の業務執行者でない取締役又は会計参与(社外監査役を独立役員として指定する場合に限る。)
(E)当社の親会社の業務執行者又は業務執行者でない取締役
(F)当社の親会社の監査役(社外監査役を独立役員として指定する場合に限る。)
(G)当社の兄弟会社の業務執行者
(H)最近において前(B)~(D)又は当社の業務執行者(社外監査役を独立役員として指定する場合にあっては、業務執行者でない取締役を含む。) に該当していた者
コーポレートガバナンス・コードにも役員の独立性が定められている
東証が規定するコーポレートガバナンス・コードにおいても役員の独立性について規定されています。
まず前提として基本原則4に取締役会の責務について定められています。
【基本原則4】
上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、
(1)企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2)経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3)独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うことをはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。
こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの機関設計を採用する場合にも、等しく適切に果たされるべきである。
原則4にぶら下がる形で原則4-9に独立社外取締役の独立性判断基準を策定・開示すべき、と定められています。
【原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた独立性判断基準を策定・開示すべきである。
また、取締役会は、取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を独立社外取締役の候補者として選定するよう努めるべきである。
また、原則4-7では、独立社外取締役の役割・責務について定められています。
【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
(ⅰ)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
(ⅱ)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
(ⅲ)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
(ⅳ)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
原則4-8では独立社外取締役の人数や割合に関する目安について定められています。
【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。
また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。
社外役員・独立役員の重要性
近年、企業の不祥事やガバナンスの問題が注目されるなか、社外役員や独立役員の役割はますます重要になっています。
また、企業が持続的な成長を遂げるためには、経営陣において外部の視点を取り入れることが不可欠です。
社外役員は企業の外部から経営を監督し、独立役員はさらに厳格な基準で企業と利益相反のない立場を維持します。
社外役員や独立役員の存在は、企業の意思決定をより公正で透明なものにし、長期的な企業価値の向上に寄与するでしょう。



社外役員は会社法で、独立役員は東証の規定で定めれているものなのね。



独立役員の方が社外役員よりも狭い概念なんだね。



「独立社外役員」といったように2つを掛け合わせて呼ばれることもあるよ!