上場会社では『適時開示』と『法定開示』があるようなんだけど、この2つの違いは何なのかな?
名前からしてどちらもなんだか重要そうだなぁ。
上場企業は、いわゆるディスクロージャーといって、投資家(株主等)に対して広くタイムリーに情報を発信する必要があるよ!
この記事では適時開示と法定開示について解説するね!
適時開示とは
適時開示とは、上場企業の投資家に対して、重要な会社情報が適時・適切に開示されることを目的として、取引所が上場会社に対して義務づけている開示のことをいいます。
適時開示は、取引所が定める有価証券上場規定等に基づき行われるものです。
これらの重要情報は、東京証券取引所が管理している適時情報伝達システム「TDnet」を通じて提出されるほか、会社ホームページ等を通じて報道機関や投資家に伝えられます。
適時開示で求められる会社情報の種類について
適時開示が求められる会社情報は、投資家の投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営又は業績等に関する情報です。
様々な内容があるのですが、種類別に分類すると以下となります。
上場会社の情報
・上場会社の決定事実(39項目)
・上場会社の発生事実(27項目)
・上場会社の決算情報(2項目)
・上場会社の業績予想、配当予想の修正等(2項目)
・その他の情報(7項目)
子会社等の情報
・子会社等の決定事実(15項目)
・子会社等の発生事実(12項目)
・子会社等の業績の修正等(子会社等の業績予想の修正、予想値と決算値との差異等)
決定事実・発生事実・決算情報等について
上場会社とその子会社等において、決定事実・発生事実・決算情報等が発生した場合には、適時開示が必要なことがわかりました。
ここでは、決定事実・発生事実・決算情報等の内容について解説します。
決定事実
決定事実の代表例としては、「剰余金の配当」「自己株式の取得」「合併等の組織再編行為」「資本金の額の減少」「新株発行」「株式分割」などです。
決定事実は、企業運営上の重要事項や上場株券に関する重要情報にまつわる企業の意思決定に関する事項が主となっています。
発生事実について
発生事実の代表例としては「主要株主の異動」「債権の取立不能又は取立遅延」「訴訟の提起又は判決等」などが挙げられます。
発生事実は、企業運営上の重要事項や上場株券に関する重要情報にまつわる企業の意思決定とは関係なく発生した事項が主となっています。
決算情報
決算情報は、シンプルに「決算短信」「四半期決算短信」の2つとなります。
その他の情報
その他の情報の代表例は、「非上場の親会社等の決算情報」や「上場維持基準への適合に向けた計画の開示」などが挙げられます。
その他の情報は、上記のいずれにも関係しない事項であるが、企業運営上の重要事項や上場株券に関する重要情報が対象となります。
法定開示とは
法定開示とは会社法及び金融商品取引法により義務付けられた開示となります。
法律ごとに目的・対象・開示書類等が異なりますが、証券取引所に上場している企業は、有価証券報告書や四半期報告書等を内閣総理大臣に電子媒体によって提出することとなります。
提出方法としては、金融庁が管理している電子開示システム「EDINET」を通じて提出されるだけでなく、会社HPを通じて公開されます。
適時開示と法定開示の違いについて
上記のように、適時開示と法定開示は、投資家保護のために行われる重要情報の開示という点で共通しています。
適時開示はその名の通り適時性がより重要視される(もちろん正確性が担保されたうえでの話です)のに対して、法定開示は開示が網羅的かつ正確に行われているかどうかがポイントといえます。
法定開示の代表例は有価証券報告書や四半期報告書で、企業情報はもちろん貸借対照表や損益計算書に代表される財務情報が含まれますので間違った情報が開示されることがないよう特に正確性や網羅性を意識する必要があります。
適時開示は法定開示よりも幅広い事象に対して開示するものであり、会社の意思決定や周辺環境の発生状況に留意しつつ、重要情報をキャッチした際には適時適切に開示することが必要です。
また、細かな違いとしては、取引所が運営するTDnetを使用するのか、金融庁が運営するEDINETを使用するかがあります。
上場会社は色々な開示をしないといけないから大変だなぁ。
適時開示と法定開示の両方を意識しつつ、定期的に開示していかないといけないのね。
適時開示と法定開示それぞれで開示資料はもちろん、趣旨や目的が異なるので混同しないように気を付けよう!