決算短信(通称:タンシン)って言葉はよく聞くけど、一体何のことを指すんだろう。。
有価証券報告書(通称:ユウホウ)も聞くけど、決算短信と何が違うのかよくわからないなぁ。
どちらも上場会社にとっては重要な書類となるので、解説するね!
決算短信とは何か?
決算短信は、上場企業が四半期ごと、または年度末の決算後に投資家や市場関係者に対して迅速に情報を提供するために作成される文書です。
決算短信は上場企業の全てに対して、作成及び開示することが義務付けられており、各証券取引所が上場規則において定められている様式を用いて作成することとなります。
決算短信は、投資家が短期的な投資判断を行う際の重要な指標となり、主に売上高、営業利益、純利益などの基本的な財務データを含んでいます。
投資家投資判断にあたり、決算締め後の速報情報を求めます。
そのため、正確だけれども開示に時間がかかる「有価証券報告書」とは別に、決算速報となる決算短信の作成が上場企業に義務付けられています。
有価証券報告書とは何か?
有価証券報告書は、より正式で詳細な財務報告書であり、企業の財務状況、経営成績、キャッシュフローなどの詳細な情報を提供します。
また、企業の経営戦略、リスク管理、将来の見通しに関する情報も含まれており、投資家が中長期的な投資判断を行うための基礎資料となります。
具体的には以下の点が有価証券報告書に記載されています。
その①:主要数値のサマリー
主要な経営指標の推移直近5年間の売上高や利益をはじめ、自己資本比率・株価収益率(PER)・1株当たりの配当金額など、経営に関する指標の推移がまとまっています。
主要数値のサマリーは、過去も含めた企業の経営状況を把握することができる項目です。
その②:事業の状況
有価証券報告書の提出会社に関する経営方針のみならず、外部環境も含めた経営環境、対処すべき課題等が記載されており、企業が置かれている環境や会社の方針を読み取ることができます。
また、事業等のリスクにおいては、企業が抱えているリスクが一覧で記載されています。
潜在リスクも含めて、どのようなリスクを抱えているのか、発生した場合の対処方法はなんなのか、をつかみとることができます。
更に、生産・受注および販売の実績販売実績では、全体売上の10%以上を占める主要な販売先がある場合に、直近2期分の販売実績と売上全体に対する割合が記載されています。
その③:設備の状況
設備投資等の概要として、企業が1事業年度において実施した設備投資金額と、設備投資の目的や内容が記載されています。
また、(該当がある場合は)重要な設備の新設・拡充・売却などの計画が記載されています。
その④:提出会社の状況
取締役や監査役(監査等委員含む)経営陣の経歴が役員の状況において記載されています。
それだけでなく、株式の状況では、企業が保有している株式が一覧形式で記載されています。
その⑤:経理の状況
決算短信では省略されている販売費及び一般管理費の明細や、固定資産の明細等の詳細な情報を含めて財務数値が記載されています。
当該数値については、監査法人の監査済みのため、信頼できる数値となります。
決算短信と有価証券報告書の主な違い
両者の違いについては、以下がポイントとなります。
開示時期
- 決算短信: 決算期終了後45日以内に開示されることが多い。
- 有価証券報告書: 決算期終了後3ヶ月以内に提出される。
情報の詳細度
- 決算短信: 要点を簡潔にまとめた情報を提供。
- 有価証券報告書: 財務諸表の詳細、経営分析、リスク情報など、より広範な情報を含む。
監査の有無
- 決算短信: 監査を受ける必要はないが、一部の企業では任意で監査を受けることもある。
- 有価証券報告書: 法律により監査が義務付けられており、信頼性が高い。
速報性と正確性
- 決算短信: 速報性を重視し、短期的な投資判断のために利用される。
- 有価証券報告書: 正確性と詳細性を重視し、中長期的な投資判断のために利用される。
開示目的の違いを知ろう
決算短信と有価証券報告書は、それぞれ異なる目的と詳細度で投資家に情報を提供します。
決算短信は迅速な情報提供を目的とし、有価証券報告書はより正確かつ包括的な情報のためのものです。
投資家は、これらの文書を適切に理解し、活用することで、より企業の実態を知ることができます。
なるほど、決算短信は鮮度が大事なんだね。僕と一緒だ。。
鮮度も大事だけど、ネタの正確性も忘れずにね。
どちらも上場会社にとっては重要な書類なので、使い分けていこう!