社長から貸倒引当金というものを計上するように言われているんだけど、なんのことやら。
貸倒引当金は現金商売を除くと必ずといっていいほど出てくる単語だわね。。
貸倒引当金には会計上と税務上の両方を意識する必要があるから解説するね!
貸倒引当金は何のために計算する?
貸倒引当金とは、債権が回収不能となったときの損失に備えて、将来の貸倒金額を見積るために計上する引当金のことです。
債権は計上した金額の全額を必ず回収することができるとは限らず貸倒れの可能性があります。
この将来の貸倒れに関する可能性のことを信用リスクといいます。
債権分類について会計上と税務上の違い
先ほどは信用リスクについて説明しました。
相手先の信用リスクに応じて債権の種類を分けます。
会計上では以下の3つの区分となります。
1.一般債権 = 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権
2.貸倒懸念債権 = 経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権
3.破産更生債権等 = 経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権
税務上では以下の3つの区分となります。
1.一括評価金銭債権 = 売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で、個別評価金銭債権を除いたもの
2.個別評価金銭債権 = 倒産寸前状態の取引先など回収不能になる可能性が高い債権
貸倒実績率はどういう時に使う?
貸倒実績率は一般債権(税務上では一括評価債権)の貸倒引当金を計上する際に用いられるものです。
そのため、会計上でも税務上でもどちらの場面でも出てくることになります。
厳密には会計上と税務上でそれぞれ目的が異なっています。
会計上では、将来の貸倒れに関する見積りを財務諸表に反映することを目的として使用します。
税務上では、課税所得を計算するにあたり貸倒引当金の繰入限度額を算出することを目的として使用します。
会計上の貸倒実績率を知ろう
会計上では、債権全体又は同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定することが求められています。
当期末の一般債権について貸倒実績率を算定する場合の計算式は以下となります。
貸倒引当金繰入額(貸倒見積額) = 一般債権残高 × 貸倒実績率
そして、貸倒実績率はこのように計算します。
上記の年度ごとの貸倒実績率について、当期を最終年度とする算定期間を含む当期以前の2~3年間に係る貸倒実績率の平均値によります。
3期を対象期間とする場合は以下のようになります。
( X1年度の貸倒実績率 + X2年度の貸倒実績率 + X3年度の貸倒実績率 ) ÷ 3
税務上の貸倒実績率を知ろう
当期末の期末一括評価金銭債権について貸倒実績率を算定する場合の計算式は以下となります。
税務上の貸倒引当金繰入限度額 = 期末一括評価金銭債権の帳簿価額 × 貸倒実績率
そして、税務上の貸倒実績率をシンプルに表す場合は以下のように計算します。
税務上では3年間と期間が決まっており、また、会計上の計算と異なり貸倒損失・債権金額どちらも3年間の合計金額で算出することになります。
貸倒実績率について会計上と税務上での微妙な違いを知ろう
上記のように会計上では「貸倒実績率の平均」となっているのに対して、税務上では「過去3年分の合計額(貸倒損失・債権金額)」で貸倒実績率を算出することに留意しましょう。
一般債権だったとしても、資金を回収できないリスクは潜在的にあるものだからね。
相手をきちんと見ないとね。僕みたいな立派なえびなら心配ご無用ご無用。
う、うん。。
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